飲食店の評価制度に「特別評価」を加えるべき理由とは?【事例紹介】
皆さんこんにちは!飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井です。
前回のブログでは、【飲食店経営】社員の定着率UP!キャリアビジョンシートで将来を明確にしようについてお話をさせて頂きました。
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地方都市で大型和食店などを経営している佐々木社長の会社で実際に評価制度をゼロから作った構築過程をこれまでのブログでご紹介して参りました。
ある程度評価制度が設定できた状況になりましたが、ここでいきなり本格導入してしまうと、制度上の不具合が調整不足のままリリースしてしまうことになりかねません。
評価項目には表れない頑張りを評価する「特別評価」を導入する
そこで、構築した評価制度は、まずトライアル評価を行ないます。
佐々木社長の会社では、飲食事業部門の小山店長に協力してもらい、トライアル評価を進めることになりました。
まず、定量評価結果については、小山店長の店舗の予算対比を集計していきます。今回 は売上高予算対比 85%、原価率予算対比 84%、人件費率予算対比 82%という結果でした。 一方で、定性評価結果は、理念・行動指針の達成率は 95%、Q S Cチェックは 68%、 K P Iは 56%、スキルチェックは 82%でした。
実績が算出できたら、次はそれぞれの実績に小山店長の4等級のウエイトをかけ合わせていきます。例えば、売上高予算対比の実績①は85%、ウエイト②は20%なので、85%×20%=③評価結果17%となります。
こうして算出されたすべての項目を合計した78.8%、この数値が小山店長の最終的な評価 結果となります。

さらに、この最終評価結果をベースに、評価ランクを決定していきます。
今回設定した評価ランクが図35です。今回、小山店長の評価結果は78.8%でしたので、評価ランクはCランク(60%~79%)となります。
佐々木社長「三ツ井さん、小山店長はCランクなのですね。これは私の感覚なのですが、彼はかなり頑張ってくれていたので、正直、Cランクというのは違和感があります」
このようにトライアル評価を行なうと、評価結果と、社長の考える評価に差異が生じることがあります。私は、この差異こそがとても大切だと思っています。

社長が感じている差異の正体をヒアリングしていきしょう。
三ツ井「佐々木社長、小山店長の評価に関してですが、どんなところに違和感を感じられましたか?」
佐々木社長「小山店長は定量評価の予算達成率がかなり悪かったと思いますが、実はこれには理由があります。今年は仕出し事業部の人員が全く足りず、小山店長はほとんど仕出し事業部のヘルプにかかりきりでした。なので、自店舗の数値管理が甘くなってしまったようです。実際、今回小山店長が仕出し事業部のヘルプを行なっていなければ、仕出し事業部は人員不足で完全にオペレーション崩壊していたと思います。
小山店長は自店舗だけでなく、いつも会社全体のことを考えて行動してくれます。その姿勢は定性評価にも表れていて、彼の理念・行動指針の評価結果は 95 %と、社内の全スタッフの中で最も高くなっています」
三ツ井「でしたら、小山店長に関しては『特別評価』を付与してあげましょう」
私は、飲食店の評価制度では、この「特別評価」の導入をおすすめしています。
今回のような〝特別な事情〟に対して、最終評価結果に80~120%の範囲で特別評価 枠を設けておきます。例えば、「遅刻が多い」「社内で問題を起こした」などの場合は、80~99%の間でマイナスの特別評価を行ないます、一方で、小山店長のケースのように、評価項目には表れないプラスの行動を行なってくれた場合には、101~120%の範囲でプラスの特別評価を行なうのです。
佐々木社長「確かに特別評価は必要ですね。ただ、それだと以前私がやっていた〝鉛筆ナメナメ評価〟とあまり変わらなくなってしまう気がします」

三ツ井「佐々木社長のご心配もわかります。ただ、飲食店経営ではさまざまなケースが発生するので、評価項目だけで評価すると、どうしても不具合が発生してしまいます。特別評価基準の不明確さが心配な場合は、遅刻〇回でマイナス〇%と細かく設定す る方法もありますが、こうした設定はどんどん評価制度が複雑化してしまうので、あまりおすすめしていません。
それよりも特別評価を行なううえで重要なのは、特別評価の理由を明確にし、その理由をしっかりと本人にフィードバックすることです。本評価を行なった際には、幹部メンバーで全スタッフの評価結果を確定させる『評価査定会議』を行ないます。会議では、すべての特別評価に関して、その正当性や整合性を議論して決定していきます」
佐々木社長「確かに、そのようなプロセスを行なえば、不公平感はなくなりますね」

こうして特別評価を付与した小山店長の評価が、図36です。 今回、小山店長には115%の特別評価④を付与したため、最終評価結果⑤は 90.6%となり、評価ランクはAランクとなりました。
このように、評価制度を上手に運用しようとすれば、特別評価のような調整弁が必要なのです。
なお、今回のブログは下記YouTubeでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!
本ブログが少しでも飲食店経営者の皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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