飲食店新規出店のための投資回収シミュレーション | 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント
飲食店新規出店のための投資回収シミュレーション | 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント
皆さんこんにちは飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井です。
前回のブログでは、飲食店経営&開業のための『業態コンセプト』作成についてお話をさせて頂きました。
前回のブログはこちらからご覧ください。
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当社の無料経営相談に「良い物件が出たので新店の出店を検討している」とご相談を頂いた、繁華街でイタリアンレストランを3展開するI社長。
ここ数回のブログでは私からI社長へのアドバイス事例として、「商圏分析」 「競合店・モデル店調査」 「業態コンセプトシート」についてお話をさせて頂きました。
アフターコロナの新規出店の失敗は財務面においても影響が大きいためより慎重にならなくてはなりません。それはI社長の会社においても同じで、コロナ借入金返済等が始まる状況においては、今回の出店は必ず成功させなくてはなりません。Ⅰ社長の会社は今までは出店に際してしっかりとした投資回収シミュレーションができていませんでした。そこで、これまでの調査結果や既存店の損益構造等をベースに私の方で投資回収シミュレーションを実施させて頂く事にしました。
今回のI社長の会社で使用した実際の投資回収シミュレーションが下の表となります。このシミュレーション表について解説していきます。
Ⅰ.投資/物件条件 | 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント
まずは投資金額や物件の賃料等の条件面を整理していきます。今回I社長の出店においては居抜き物件となりますが、一部厨房機器や内装・外装に関してはやり直しをしますので、概ね2,000万円程度の投資金額となりました。減価償却費については厳密には耐用年数等を考慮して算出しますが、ここでは一旦簡易的に総額を60カ月月(5年)で案分して設定をします
Ⅱ.損益/投資回収シミュレーション | 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント
次に売上原価、人件費率、減価償却費、その他経費等を加味して損益シミュレーションを作成します。
この時に1点注意をして頂きたい事があります。それは最初にしっかりとした「損益分岐点売上高」を算出するという事です。目標売上から考えてしまうと、どうしても希望的観測から高い売上目標を設定しまいがちです。なお損益分岐点売上高は下記公式で求める事が可能です。
【損益分岐点売上高 =固定費 ÷(100% — 変動比率)
ちなみにこの公式をI社長の今回の出店に当てはめると次のようになります。
損益分岐点売上高4420千円=固定費1193千円÷(100% — 変動比率73%)
そして次は「この物件において損益分岐点売上高である月商442万円が売れるか?」という検証をします。検証方法について、商圏分析結果や既存店の坪効率、競合店の売上状況等を踏まえて複合的に判断します。なお、人件費については今回のシミュレーションにおいては簡易的に30%の変動費として設定していますが、実際には売上別のモデルシフト等から算出していきます。
こうしたデータを踏まえて、I社長はこの物件への出店を決め、売上目標を月商700万円に設定しました。この場合の営業利益額は69万円であり営業利益率は約10%です。さらにこの営業利益に法人税等の実効税率を40%と仮定して設定し、税引後純利益を算出します。さらにこの税引後純利益に、実際には毎月キャッシュアウトしていない減価償却費を足した金額を「キャッシュフロー」とします。そして年間キャッシュフローを総投資額で割る事でROI(Return On Investment)、つまり投資収益率を算出する事が可能です。ROいについては税引前営業利益で算出する場合もありますが、今回はより資金繰り計画の精度を高める為にキャッシュフローベースのROIを算出しました。こうして算出された月商700万円の場合の本物件のROIは45.1%でした。さらに総投資額を年間キャッシュフローで割ると投資回収年数を算出する事ができ、本物件の目標月商達成時の投資回収年数は2.2である事が分かります。
Ⅲ.日商シミュレーション | 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント
最後に月商700万円の目標を達成する為の日商目標値を設定していきます。この日商目標をベースに人員の採用計画や厨房設備のスペック設定等を行っていくのです。
ここまでお話をさせて頂いた通りI社長の会社においては、しっかりとした事業計画を立てた上で先日いよいよオープンとなりました。現在の月商は当初目標の700万円を上回る800万円ベースで推移しており、月100万円程度の営業利益をとなっています。この調子でいけば約2年で投資回収ができる計算となります。
オープン後の定例フォローミーティングでI社長とお話をしましたが、I社長は「今回、改めてしっかりと商圏分析や業態コンセプト設計、投資シミュレーションをしてみて、いかに今までの自社の出店が勘頼みの“ギャンブル出店”だったか分かりました。今回の物件も今まで通りギャンブル出店をしていたら、こんな成功は絶対にしていないと思います」とおっしゃっていました。
ぜみ皆様もアフターコロナにおいては新規事業/新規出店が命取りとならないよう、しっかりとした調査やコンセプト設計、投資回収シミュレーションを行った上で意思決定を行って頂く事をお勧めします。
なお、今回のブログは下記YouTubeでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!
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本ブログが少しでも飲食店経営者の皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。