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飲食店経営理念見直しの事例!”やり方”よりも”あり方”を重視

飲食店経営理念の事例!|飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント

皆さんこんにちは飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井です。

前回のブログでは、ギャンブル型出店から脱却するための「投資回収シミュレーション」についてお話をさせて頂きました。

前回のブログはこちらからご覧ください。

今回のYouTubeはこちらから!| 飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント

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コロナ前に作った経営理念、目標に違和感を感じたままの経営は危険

「アフターコロナのニューノーマル時代に向けて何をしていくべきなのか?」

こうしたテーマで講演をすると経営者の方から「これからはどんな業態が流行りますか?」「有効な集客戦略は何ですか?」といった“やり方”についての質問を頂く事が多いのですが、私はまず最初に“やり方”よりも、 “あり方”を見直す事が重要だと思っています。

先日もこの“あり方”の重要性を改めて痛感した出来事がありましたのでご紹介させて頂きます。

和食店を5店舗経営するA社長からのご相談「いますぐ和食店を焼肉店にリニューアルしたい」

和食店を5店舗経営するA社長からのご相談「いますぐ和食店を焼肉店にリニューアルしたい」

繁華街で和食業態を5店舗経営されているA社長にお会いさせて頂いたのは2021年の4月でした。A社長のお店も当然ながらコロナ禍で大打撃を受けておられました。ご相談内容は「繁華街の和食業態をコロナ禍でも比較的売上が好調な焼肉業態に変えていきたい」というご相談でした。

「すぐにでも内装工事をして、既存の和食店をまず1店舗焼肉店として早急にリニューアルをしたい」「ファサードはどんな感じが良いか?」「メニューは?」「仕入れ先は?」「オープニング販促は?」「いつ位にオープンできそうか?」など、様々なご質問をされるA社長。そんな中で私はまず、A社長の会社についてヒアリングをさせて頂く事にしました。

A社長の会社は経営理念や経営計画書等もしっかりと作られておりました。そして、毎年全店舗をお休みにして社員の表彰式を行うなど、組織マネジメントにも非常に精力的に取り組んでおられました。経営理念を拝見させて頂くと、そこには次のように記してありました。

【A社の経営理念】「和食の力で地域に笑顔を創造する」

【A社の経営ビジョン】2025年までに和食店を20店舗を出店する

既存店が全て和食店という事で、当然ながら「和食店の展開」を前提とした経営理念、経営ビジョンが掲げられていました。今回その1店舗を急遽焼肉店にリニューアルされるという事です。もちろんコロナ禍という非常事態なので、ビジネスモデルチェンジは急務な意思決定だと思います、ただ経営理念や経営ビジョンは今までのまま良いのでしょうか?さらに焼肉店の開業について、既存のスタッフにもまだ伝えていないという事でした。

そこで私はA社長に提案をさせて頂きました。

「A社長、業態リニューアルも大切ですが、まずは経営理念、経営ビジョンの見直しをしませんか?そして今回焼肉店を開業する目的を新たな理念・ビジョンと共にスタッフに説明する場を設けましょう」

業態変更のコンサルティングを依頼しようと思っていたのに、私から経営理念、ビジョンの見直し等を提案されて少し驚いた様子のA社長に対して、私はなぜ経営理念、ビジョンの変更が必要なのかを丁寧に説明させて頂きました。

理念経営を船の航海に例えた図

理念経営を船の航海に例えた図

10年~11年周期で不景気を繰り返している外食産業。調子が良い時は追い風にのってスイスイと進んでいけるのですが、この度のコロナ禍や景気低迷等の強烈な向かい風が発生すると事業はあっと言う間に危機にさらされてしまいます。私はこれを「船の航海」に例えて説明をさせて頂きました。

コロナ禍や景気低迷期のような厳しい大波が押し寄せる状況においても、経営者は自社の存在意義やあり方(経営理念)や、将来に向けてどのような目標で事業活動をしていくのか(経営ビジョン)をスタッフに伝えていく事が重要です。

経営を「船の航海」に例えると経営者は船長であり、船長は羅針盤(経営理念)を頼りに、船員(スタッフ)と共に目的地(経営ビジョン)に向かって大海原を航海(経営)していく事が重要です。

経営者は常に自分自身で進むべき方向を意思決定していかなければならず、どんなに強い経営者の方でも“大波”の時の意思決定には不安や恐怖、迷いが付きまといます。そんな時にこそ羅針盤(経営理念)が重要なのです。

経営者は時として自分の意思決定に自信が持てない時があります。そんな時こそ自分の感情だけに意思決定を左右されない、またその感情を自ら冷静に検証する(軸がブレている事を認識する)為にも羅針盤(経営理念)の存在が大切なのです。そしてもう一つ忘れてはいけない重要な事があります。それは

「羅針盤が無い」「目的地が分からない」船にはスタッフも乗りたがらない

という事です。

最近当社には「長引くコロナ禍で会社の方針が明確に打ち出せなくなった事で長年働いてきたスタッフが退職してしまった」というご相談が当社に数多く寄せられるようになりました。大荒れの中での航海、船長も不安だと思いますが、不安そうな船長を見ている船員はもっと不安になるのも無理はありません。コロナ禍や景気低迷という「大荒れの時代の航海」だからこそ、こうした羅針盤と目的地=経営理念、経営ビジョンをはっきりと示す事が重要なのです。大荒れの海で羅針盤もなく航海をしたら、すぐに強風に煽られて船は転覆してしまうでしょう。そして大荒れの時代は必ず10年~11年毎に訪れるのです。

飲食店経営理念見直しの事例!”やり方”よりも”あり方”を重視

A社長にこのお話をさせて頂くと納得して頂き、経営理念とビジョンを見直す事にしました。そして新しくなった経営理念とビジョンをスタッフに向けて発表するミーティングを行いました。なぜ今まで和食店を展開していた自社が焼肉店にチャレンジするのか?といった出店目的等について丁寧にスタッフに話をすると、一人の料理長からこんな発言がありました。

「社長!その焼肉業態のオープン、私にやらせてもらえませんか!」

A社長としては、和食の料理人に焼肉店を担当させる事は本人達が嫌がると思い、新たに焼肉店経験者の料理長を採用するつもりでいましたが、既存の料理長が立候補してくれたのです。このスタッフは社歴も長く、他のスタッフからの信頼もあったので、ミーティングの場は一気に「焼肉新業態応援モード」になりました。とはいえ焼肉と和食では必要な調理技術が異なります。そこでこの料理長には、A社長の知り合いの焼肉店で1カ月間の研修を受けてもらいました。

料理長が研修から戻ると、早速私とA社長、料理長を交えて業態開発のミーティングをスタートしました。異業種といえども、長年の経験から焼肉店の調理技術をしっかりとマスターしてきた料理長。長年培ってきた和食の技術と今回の研修で学んだ焼肉店の技術を融合させたメニューを盛り込んでいきました。

その後、A社長からは

「三ツ井さんの言う通り、スタッフに新たな理念やビジョン、焼肉店をやる目的をしっかりと話をしておいて良かったです。一番懸念していた料理長も決まりましたし!」

と大変喜んで頂きました。

きっと以前の経営理念やビジョンのまま焼肉店をオープンさせていたら、会社の中に大きな「違和感」を残していたと思います。この「違和感」はスタッフのモチベーション等にも悪影響を与えます。

皆様の会社でもアフターコロナ等に向けて新たな戦略を進める際には、ぜひ既存の経営理念やビジョン等との整合性も考えてみて下さい。

このブログが少しでも皆さんのご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

なお、今回のブログは下記YouTubeでも解説しておりますので、ぜひご覧ください!

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